いろいろ置き場
なんか暗かったりするのが多いよ。あとは気に食わないから表に置こうとは思わないんだけどせっかく書いたからとかいうもの置き場。
2007.05.16
こんな妄想をつらつら。
金高、No.1ホストと援交高校生。
値は張るけどかなりイイと歌舞伎町でちょっと有名になっちゃった高杉のことを金時は小耳に挟んで高杉に声を掛けるの。
高杉は最初誰こいつとか思ってるんだけどNo.1ホストの話は聞いたことあったからあぁこいつがそうなんだと認識。
お互い好き同士なんかじゃなくて、ちょっとしたGAMEをするの。
内容は恋人同士の真似ごとをして、先に相手を本当に惚れさせた方が勝ちっていうもの。
多分GAMEを持ち掛けたのは金時の方で、高杉は負けるはずないと思って受けたんだよ。暇潰し感覚だったの。
それは金時も一緒。お互い本当に遊びのつもりで始めるの。
でもGAMEを進めてくうちに高杉が先に金時に惚れちゃえば良いよ。そんな自分に気付いて、しばらく気付かないフリしてたんだけどそんな状況に耐えきれなくなって負けを認めちゃえばいいよ。
金時の勝ち、高杉の負けが決まったらGAMEはおしまい。二人はお別れなんだ。
高杉は芽生えてしまった金時への思いを持て余しながら過ごせばいいよ。精一杯、金時と出会う前の自分に戻ろうとして苦しむのだよ。
一方金時は高杉と別れて初めてただの暇潰しの相手だった高杉が自分のなかで大きくなってたことに気付くんだよ。失って初めて気付くんだ。
本当は勝敗なんてつけられなかったの。
でも金時も高杉がかつてそうしたように自分の気持ちに蓋をしようとするんだ。気のせいだと思うようにするの。無駄なことだけどね。
お互い好き同士なのに、GAMEは終わったから、そんな理由をつけて互いに相手の今を知ろうともしないんだよ。
そうしてしばらく経った後、やっぱりどうしようもなくなって、金時が高杉のところに行けばいいよ。
高杉が他のオジサンとホテル入るところを掴まえて連れ去っちゃうのだ。何がなんだかわからない高杉に金さんは愛の告白でハッピーエンド的な終わりというか始まりというかという流れで。
この妄想してて、霜のなかの高校生高杉はピュアか援交の二つに一つだと今更気付いた。
金高、No.1ホストと援交高校生。
値は張るけどかなりイイと歌舞伎町でちょっと有名になっちゃった高杉のことを金時は小耳に挟んで高杉に声を掛けるの。
高杉は最初誰こいつとか思ってるんだけどNo.1ホストの話は聞いたことあったからあぁこいつがそうなんだと認識。
お互い好き同士なんかじゃなくて、ちょっとしたGAMEをするの。
内容は恋人同士の真似ごとをして、先に相手を本当に惚れさせた方が勝ちっていうもの。
多分GAMEを持ち掛けたのは金時の方で、高杉は負けるはずないと思って受けたんだよ。暇潰し感覚だったの。
それは金時も一緒。お互い本当に遊びのつもりで始めるの。
でもGAMEを進めてくうちに高杉が先に金時に惚れちゃえば良いよ。そんな自分に気付いて、しばらく気付かないフリしてたんだけどそんな状況に耐えきれなくなって負けを認めちゃえばいいよ。
金時の勝ち、高杉の負けが決まったらGAMEはおしまい。二人はお別れなんだ。
高杉は芽生えてしまった金時への思いを持て余しながら過ごせばいいよ。精一杯、金時と出会う前の自分に戻ろうとして苦しむのだよ。
一方金時は高杉と別れて初めてただの暇潰しの相手だった高杉が自分のなかで大きくなってたことに気付くんだよ。失って初めて気付くんだ。
本当は勝敗なんてつけられなかったの。
でも金時も高杉がかつてそうしたように自分の気持ちに蓋をしようとするんだ。気のせいだと思うようにするの。無駄なことだけどね。
お互い好き同士なのに、GAMEは終わったから、そんな理由をつけて互いに相手の今を知ろうともしないんだよ。
そうしてしばらく経った後、やっぱりどうしようもなくなって、金時が高杉のところに行けばいいよ。
高杉が他のオジサンとホテル入るところを掴まえて連れ去っちゃうのだ。何がなんだかわからない高杉に金さんは愛の告白でハッピーエンド的な終わりというか始まりというかという流れで。
この妄想してて、霜のなかの高校生高杉はピュアか援交の二つに一つだと今更気付いた。
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2007.04.30
食べ掛けのコッペパンが消え失せ、袋だけになっていた。
「…なぁ、俺のコッペパンが誰かに食われてたんだけど」
不機嫌に告げてやれば銀八がぱちりと目を瞬かせた。
「マジでか」
俺は知らないといった態度に高杉はぴくりと眉を寄せた。
「……てめぇは食ってねーっつーんだな…」
「食ってねーよ。おめ自分で食ったの忘れてんじゃねーの?」
やだやだボケボケと首を振る銀八に青筋をたてる。
どうやらこいつはこのままとぼけ通す気だと悟り高杉は方向性を変えてみた。
「まぁいい。このコッペパンうまくなかったな」
「な。普通のコッペパンの方が柔らかくておいし…」
「やっぱ食ったんじゃねーか」
「あ」
×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××
こんなことが先日ありましたとさ。くだらない日常ね。
「…なぁ、俺のコッペパンが誰かに食われてたんだけど」
不機嫌に告げてやれば銀八がぱちりと目を瞬かせた。
「マジでか」
俺は知らないといった態度に高杉はぴくりと眉を寄せた。
「……てめぇは食ってねーっつーんだな…」
「食ってねーよ。おめ自分で食ったの忘れてんじゃねーの?」
やだやだボケボケと首を振る銀八に青筋をたてる。
どうやらこいつはこのままとぼけ通す気だと悟り高杉は方向性を変えてみた。
「まぁいい。このコッペパンうまくなかったな」
「な。普通のコッペパンの方が柔らかくておいし…」
「やっぱ食ったんじゃねーか」
「あ」
×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××
こんなことが先日ありましたとさ。くだらない日常ね。
2007.04.18
これからのことを考えると、なんだか無性に泣きそうになる。
1年後、2年後、3年後。
俺はいくつでおまえはいくつで。あまりにもリアルなその数字。
なぁ、俺はいつまでおまえに甘えてられるんだろう。
(不安に潰されそうな俺を どうか 救って)
1年後、2年後、3年後。
俺はいくつでおまえはいくつで。あまりにもリアルなその数字。
なぁ、俺はいつまでおまえに甘えてられるんだろう。
(不安に潰されそうな俺を どうか 救って)
2007.04.14
───遠く、雨音が聞こえる。
深い森の中を銀時は一人歩いていた。足は自然と進み、自分は少し遠くから見つめている感覚。まるで夢を見ているようだ。
葉を伝い落ちる雨粒は大きく、銀時の肌を撃ち弾ける。
急に視界が開ければ、なにもないその世界にぽつんと佇む後ろ姿が其処にはあった。
「ー…ん、銀ちゃーん、起きるアルヨー」
「…んあ?」
頭上から降り注ぐ声と瞼越しにもわかる陰に銀時は目を覚ました。
朧気な視界が澄み渡れば自分の顔を覗き込む神楽と目が合った。
「あっ、銀さん起きましたか。もー、雨が降ったら窓閉めてくださいよ。降り込んで水浸しじゃないですか」
雑巾とバケツを手にした新八が窓際に立って銀時に文句を投げ付けた。
だがそんな言葉も寝起きでまだはっきりと覚醒していない銀時には意味を成さない。
銀時は無造作に頭を掻きながら欠伸をした。
「うっせーよ。朝からぎゃーぎゃー騒ぐなって」
「銀ちゃん、雨で銀ちゃんのジャンプ全部びちょびちょヨ」
「マジでか」
「自業自得ですよ。ってかだいたい今、朝じゃないですし」
「あ?」
言われて時計を見れば時計はもう昼であることを告げる。
だんだんと銀時の頭が現実に戻って来る。
そうだ。新八と神楽に買い物を任せて自分はソファに寝そべりジャンプを読んでいたんだ。
そうしてるうちに瞼がだんだんと重たくなってきて眠りに落ちてそれから―――。
脳裏に過ぎる、儚い残像。
それは夢と呼ぶには余りにリアルで、銀時の目に焼き付いていた。
そう、あれは夢などではない。あれは───。
「―――………」
絶え間ない雨音は今も変わらず世界を包み込んでいる。それが忘れていた過去の記憶を呼び起こしたのかもしれないと銀時はぼんやりと思った。
「銀ちゃん?」
「あ?…あー、飯にすっか。今日の当番はてめーだろうが神楽。さっさと作れや」
「今日は鮭のふりかけご飯ヨ」
「おめーもいい加減おかずの作り方くらい覚えろよ。新八ん教われ」
「銀ちゃんが教えてくれてもいいアル」
「めんどいから却下だ。俺に教わりたきゃ俺が作ってんの見て覚えろ」
「銀ちゃんがご飯作ってるときに台所入ると人のこと邪魔もの扱いするヨ」
「そりゃオメーが邪魔なところにいんのが悪いんだろーがよォ」
「あーもうハイハイ。言い争いはやめて下さいよ。神楽ちゃん、ご飯作って」
*~~~(略)~~~*
濡れたネコと目が合う。
「濡れてなきゃ、いいけどな」
*───────────*
攘夷の頃に、銀さんが雨の中一人立ってる高杉を見つけたことがあってそれをずっと記憶の奥にとどめててさ。
今になって雨音が記憶とリンクしてそのときの夢を見るの。
目が覚めてあの頃じゃない、現実にいるんだってわかってるんだけどまだなんとなく夢うつつでね、窓の外を見るの。
ネコにゃんが濡れて萎んでて、それにあの日の高杉を重ねて、銀さんは今の高杉が濡れてなきゃいいけどなって思いを馳せる。
っていうのを書きたかったんだけどずーっとずーっと書き途中のまま完成する目処がたたないからゴミ箱いき。
「濡れて萎んだネコ 君に重ねて」っていう歌詞にインスパイアされた。まんまだね。「雨のオーケストラ」って曲。ムック(not六道骸)の曲でっす。
深い森の中を銀時は一人歩いていた。足は自然と進み、自分は少し遠くから見つめている感覚。まるで夢を見ているようだ。
葉を伝い落ちる雨粒は大きく、銀時の肌を撃ち弾ける。
急に視界が開ければ、なにもないその世界にぽつんと佇む後ろ姿が其処にはあった。
「ー…ん、銀ちゃーん、起きるアルヨー」
「…んあ?」
頭上から降り注ぐ声と瞼越しにもわかる陰に銀時は目を覚ました。
朧気な視界が澄み渡れば自分の顔を覗き込む神楽と目が合った。
「あっ、銀さん起きましたか。もー、雨が降ったら窓閉めてくださいよ。降り込んで水浸しじゃないですか」
雑巾とバケツを手にした新八が窓際に立って銀時に文句を投げ付けた。
だがそんな言葉も寝起きでまだはっきりと覚醒していない銀時には意味を成さない。
銀時は無造作に頭を掻きながら欠伸をした。
「うっせーよ。朝からぎゃーぎゃー騒ぐなって」
「銀ちゃん、雨で銀ちゃんのジャンプ全部びちょびちょヨ」
「マジでか」
「自業自得ですよ。ってかだいたい今、朝じゃないですし」
「あ?」
言われて時計を見れば時計はもう昼であることを告げる。
だんだんと銀時の頭が現実に戻って来る。
そうだ。新八と神楽に買い物を任せて自分はソファに寝そべりジャンプを読んでいたんだ。
そうしてるうちに瞼がだんだんと重たくなってきて眠りに落ちてそれから―――。
脳裏に過ぎる、儚い残像。
それは夢と呼ぶには余りにリアルで、銀時の目に焼き付いていた。
そう、あれは夢などではない。あれは───。
「―――………」
絶え間ない雨音は今も変わらず世界を包み込んでいる。それが忘れていた過去の記憶を呼び起こしたのかもしれないと銀時はぼんやりと思った。
「銀ちゃん?」
「あ?…あー、飯にすっか。今日の当番はてめーだろうが神楽。さっさと作れや」
「今日は鮭のふりかけご飯ヨ」
「おめーもいい加減おかずの作り方くらい覚えろよ。新八ん教われ」
「銀ちゃんが教えてくれてもいいアル」
「めんどいから却下だ。俺に教わりたきゃ俺が作ってんの見て覚えろ」
「銀ちゃんがご飯作ってるときに台所入ると人のこと邪魔もの扱いするヨ」
「そりゃオメーが邪魔なところにいんのが悪いんだろーがよォ」
「あーもうハイハイ。言い争いはやめて下さいよ。神楽ちゃん、ご飯作って」
*~~~(略)~~~*
濡れたネコと目が合う。
「濡れてなきゃ、いいけどな」
*───────────*
攘夷の頃に、銀さんが雨の中一人立ってる高杉を見つけたことがあってそれをずっと記憶の奥にとどめててさ。
今になって雨音が記憶とリンクしてそのときの夢を見るの。
目が覚めてあの頃じゃない、現実にいるんだってわかってるんだけどまだなんとなく夢うつつでね、窓の外を見るの。
ネコにゃんが濡れて萎んでて、それにあの日の高杉を重ねて、銀さんは今の高杉が濡れてなきゃいいけどなって思いを馳せる。
っていうのを書きたかったんだけどずーっとずーっと書き途中のまま完成する目処がたたないからゴミ箱いき。
「濡れて萎んだネコ 君に重ねて」っていう歌詞にインスパイアされた。まんまだね。「雨のオーケストラ」って曲。ムック(not六道骸)の曲でっす。
2007.04.11
先生の冷えたその手を暖めるのは いつも俺の仕事だと思ってる。
「あ~…寒ぃー」
「まぁ冬だからな」
冷たい冬の空気が頬に刺さり、吐息が白く凍る。
俺は冬が嫌い。その理由は単純明解、寒いから。
先生にそう言ったら、
『寒くなけりゃあ日本の冬じゃねーだろうが。それに、お前は雪降ったら喜んで庭駆け回るだろ』
と悪戯に笑って返された。
駆け回るわけないだろ。俺は寒いのが嫌いです。
「雪降らねぇかな」
そう呟けば先生もぽつりと返す。
「寒いからって雪とは限らねー」
俺はちらりと、先生の手に目をやった。
手袋に包まれ固く握られたその手はきっと冷たくて、熱が宿るのを待っている。
俺は不思議でたまらない。
手袋をしてさらにポケットに突っ込まれている俺の手より、はるかに冷たい手を待つ先生にとって、冬は俺より辛いもののはずなのに、何故冬が嫌いだと言わないんだろう。
手が冷たい方が外気との温度差がなくていいとか、そんなものなんだろうか。
それとも口に出さないだけで嫌いなんだろうか。
「なー先生ー」
「ん?」
「冬嫌い?」
「…普通好きって聞くもんじゃないか?」
「いいじゃん。どっち?」
「…どっちかっていうと好きだな」
「はぁ?こんなくそ寒いのに?」
「人の好みにケチつけんな。いいだろ別に」
「ありえねー」
「うっせーよ」
先生は冬が嫌いではないらしい。
変な人。そう思う。
だってこんなに寒いのに。
そんなに冷たい手をしてるくせに、冬が嫌いじゃないなんておかしい。
俺はそんなことを考えながら、また先生の握り締められた手を見つめた。
「なに見てんだ?なんかついてるか?」
「べーつに」
俺の視線に気付いた先生が手を上げ開いたが、俺は視線をそらした。
だがこっそりまた視線を戻す。
手の表裏をしばらく見比べていた先生も、首を傾げてまた手を元に戻した。
「おまえ鼻赤い」
そういう先生の鼻もちょっと赤い。キスしたらきっと冷たい。
「寒いんだから仕方ないっしょ」
「今時時代は青っ鼻だぜ」
「んな人間キメーっつーの」
けらけら笑う先生を見て、握り締められたままの先生の手を見て。
俺はついに耐えきれなくなって。
「先生」
声をかけてしまう。
「何だ?」
「手ぇ出して」
「はぁ?」
「いいから早く。手袋とって」
「馬鹿言ってんじゃねーよ、寒いじゃねーか」
「いーからっ」
しぶしぶながらも、出された手は血色が悪く、見るからに冷たそう。
俺も手袋をポケットに置き去りにして、その手を握り締めた。
「おまえの手は暖かいな」
「先生の手が冷たすぎんだよ」
「まぁそれもあるかもな」
手袋をした片手に、北風にさらされたもう片方の手。
冷気は容赦無くその手を撫で上げ皮膚が裂けるかの様に痛い。
でも俺らは手袋はつけずそのままでいた。
「俺は…」
「あ?」
ぽつりとなんでもないようにいきなり先生が口を開いた。
「おまえの手が冷たかったら、冬嫌いだったかもな」
「なんで俺の手が関係あんだよ」
「なんでだっていいだろ。なんとなくそう思っただけだ」
そう言って少し笑った先生の鼻も、少し赤くなったままで。
赤い鼻で笑う先生を見ていたらなんだか俺も笑えてきて。
先生の冷たい指先を握り直した。
俺の手は冬だろうがいつもいつでも暖かいから
先生のその冷えた指先をいつだって暖めるから
だから、手を繋いでいようよ
冬だけでいいから
先生の手を暖めるのが
俺の手の存在理由
*─────────*
以上、桜桃からのリサイクル作品でした。
ICHHさんが最近アップされたお話に似てるから公の場にアップすることがなんとなく憚られたからゴミ箱に。
元々はブン太夢です。桜桃にいけば元々の作品が見れますがそんなこたぁどうでもよかろう。
オリジナルを金高にする手直しと加筆修正。高杉先生より同級生のがよかったかな、と修正してから思う。
「あ~…寒ぃー」
「まぁ冬だからな」
冷たい冬の空気が頬に刺さり、吐息が白く凍る。
俺は冬が嫌い。その理由は単純明解、寒いから。
先生にそう言ったら、
『寒くなけりゃあ日本の冬じゃねーだろうが。それに、お前は雪降ったら喜んで庭駆け回るだろ』
と悪戯に笑って返された。
駆け回るわけないだろ。俺は寒いのが嫌いです。
「雪降らねぇかな」
そう呟けば先生もぽつりと返す。
「寒いからって雪とは限らねー」
俺はちらりと、先生の手に目をやった。
手袋に包まれ固く握られたその手はきっと冷たくて、熱が宿るのを待っている。
俺は不思議でたまらない。
手袋をしてさらにポケットに突っ込まれている俺の手より、はるかに冷たい手を待つ先生にとって、冬は俺より辛いもののはずなのに、何故冬が嫌いだと言わないんだろう。
手が冷たい方が外気との温度差がなくていいとか、そんなものなんだろうか。
それとも口に出さないだけで嫌いなんだろうか。
「なー先生ー」
「ん?」
「冬嫌い?」
「…普通好きって聞くもんじゃないか?」
「いいじゃん。どっち?」
「…どっちかっていうと好きだな」
「はぁ?こんなくそ寒いのに?」
「人の好みにケチつけんな。いいだろ別に」
「ありえねー」
「うっせーよ」
先生は冬が嫌いではないらしい。
変な人。そう思う。
だってこんなに寒いのに。
そんなに冷たい手をしてるくせに、冬が嫌いじゃないなんておかしい。
俺はそんなことを考えながら、また先生の握り締められた手を見つめた。
「なに見てんだ?なんかついてるか?」
「べーつに」
俺の視線に気付いた先生が手を上げ開いたが、俺は視線をそらした。
だがこっそりまた視線を戻す。
手の表裏をしばらく見比べていた先生も、首を傾げてまた手を元に戻した。
「おまえ鼻赤い」
そういう先生の鼻もちょっと赤い。キスしたらきっと冷たい。
「寒いんだから仕方ないっしょ」
「今時時代は青っ鼻だぜ」
「んな人間キメーっつーの」
けらけら笑う先生を見て、握り締められたままの先生の手を見て。
俺はついに耐えきれなくなって。
「先生」
声をかけてしまう。
「何だ?」
「手ぇ出して」
「はぁ?」
「いいから早く。手袋とって」
「馬鹿言ってんじゃねーよ、寒いじゃねーか」
「いーからっ」
しぶしぶながらも、出された手は血色が悪く、見るからに冷たそう。
俺も手袋をポケットに置き去りにして、その手を握り締めた。
「おまえの手は暖かいな」
「先生の手が冷たすぎんだよ」
「まぁそれもあるかもな」
手袋をした片手に、北風にさらされたもう片方の手。
冷気は容赦無くその手を撫で上げ皮膚が裂けるかの様に痛い。
でも俺らは手袋はつけずそのままでいた。
「俺は…」
「あ?」
ぽつりとなんでもないようにいきなり先生が口を開いた。
「おまえの手が冷たかったら、冬嫌いだったかもな」
「なんで俺の手が関係あんだよ」
「なんでだっていいだろ。なんとなくそう思っただけだ」
そう言って少し笑った先生の鼻も、少し赤くなったままで。
赤い鼻で笑う先生を見ていたらなんだか俺も笑えてきて。
先生の冷たい指先を握り直した。
俺の手は冬だろうがいつもいつでも暖かいから
先生のその冷えた指先をいつだって暖めるから
だから、手を繋いでいようよ
冬だけでいいから
先生の手を暖めるのが
俺の手の存在理由
*─────────*
以上、桜桃からのリサイクル作品でした。
ICHHさんが最近アップされたお話に似てるから公の場にアップすることがなんとなく憚られたからゴミ箱に。
元々はブン太夢です。桜桃にいけば元々の作品が見れますがそんなこたぁどうでもよかろう。
オリジナルを金高にする手直しと加筆修正。高杉先生より同級生のがよかったかな、と修正してから思う。
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