いろいろ置き場
なんか暗かったりするのが多いよ。あとは気に食わないから表に置こうとは思わないんだけどせっかく書いたからとかいうもの置き場。
2007.04.11
先生の冷えたその手を暖めるのは いつも俺の仕事だと思ってる。
「あ~…寒ぃー」
「まぁ冬だからな」
冷たい冬の空気が頬に刺さり、吐息が白く凍る。
俺は冬が嫌い。その理由は単純明解、寒いから。
先生にそう言ったら、
『寒くなけりゃあ日本の冬じゃねーだろうが。それに、お前は雪降ったら喜んで庭駆け回るだろ』
と悪戯に笑って返された。
駆け回るわけないだろ。俺は寒いのが嫌いです。
「雪降らねぇかな」
そう呟けば先生もぽつりと返す。
「寒いからって雪とは限らねー」
俺はちらりと、先生の手に目をやった。
手袋に包まれ固く握られたその手はきっと冷たくて、熱が宿るのを待っている。
俺は不思議でたまらない。
手袋をしてさらにポケットに突っ込まれている俺の手より、はるかに冷たい手を待つ先生にとって、冬は俺より辛いもののはずなのに、何故冬が嫌いだと言わないんだろう。
手が冷たい方が外気との温度差がなくていいとか、そんなものなんだろうか。
それとも口に出さないだけで嫌いなんだろうか。
「なー先生ー」
「ん?」
「冬嫌い?」
「…普通好きって聞くもんじゃないか?」
「いいじゃん。どっち?」
「…どっちかっていうと好きだな」
「はぁ?こんなくそ寒いのに?」
「人の好みにケチつけんな。いいだろ別に」
「ありえねー」
「うっせーよ」
先生は冬が嫌いではないらしい。
変な人。そう思う。
だってこんなに寒いのに。
そんなに冷たい手をしてるくせに、冬が嫌いじゃないなんておかしい。
俺はそんなことを考えながら、また先生の握り締められた手を見つめた。
「なに見てんだ?なんかついてるか?」
「べーつに」
俺の視線に気付いた先生が手を上げ開いたが、俺は視線をそらした。
だがこっそりまた視線を戻す。
手の表裏をしばらく見比べていた先生も、首を傾げてまた手を元に戻した。
「おまえ鼻赤い」
そういう先生の鼻もちょっと赤い。キスしたらきっと冷たい。
「寒いんだから仕方ないっしょ」
「今時時代は青っ鼻だぜ」
「んな人間キメーっつーの」
けらけら笑う先生を見て、握り締められたままの先生の手を見て。
俺はついに耐えきれなくなって。
「先生」
声をかけてしまう。
「何だ?」
「手ぇ出して」
「はぁ?」
「いいから早く。手袋とって」
「馬鹿言ってんじゃねーよ、寒いじゃねーか」
「いーからっ」
しぶしぶながらも、出された手は血色が悪く、見るからに冷たそう。
俺も手袋をポケットに置き去りにして、その手を握り締めた。
「おまえの手は暖かいな」
「先生の手が冷たすぎんだよ」
「まぁそれもあるかもな」
手袋をした片手に、北風にさらされたもう片方の手。
冷気は容赦無くその手を撫で上げ皮膚が裂けるかの様に痛い。
でも俺らは手袋はつけずそのままでいた。
「俺は…」
「あ?」
ぽつりとなんでもないようにいきなり先生が口を開いた。
「おまえの手が冷たかったら、冬嫌いだったかもな」
「なんで俺の手が関係あんだよ」
「なんでだっていいだろ。なんとなくそう思っただけだ」
そう言って少し笑った先生の鼻も、少し赤くなったままで。
赤い鼻で笑う先生を見ていたらなんだか俺も笑えてきて。
先生の冷たい指先を握り直した。
俺の手は冬だろうがいつもいつでも暖かいから
先生のその冷えた指先をいつだって暖めるから
だから、手を繋いでいようよ
冬だけでいいから
先生の手を暖めるのが
俺の手の存在理由
*─────────*
以上、桜桃からのリサイクル作品でした。
ICHHさんが最近アップされたお話に似てるから公の場にアップすることがなんとなく憚られたからゴミ箱に。
元々はブン太夢です。桜桃にいけば元々の作品が見れますがそんなこたぁどうでもよかろう。
オリジナルを金高にする手直しと加筆修正。高杉先生より同級生のがよかったかな、と修正してから思う。
「あ~…寒ぃー」
「まぁ冬だからな」
冷たい冬の空気が頬に刺さり、吐息が白く凍る。
俺は冬が嫌い。その理由は単純明解、寒いから。
先生にそう言ったら、
『寒くなけりゃあ日本の冬じゃねーだろうが。それに、お前は雪降ったら喜んで庭駆け回るだろ』
と悪戯に笑って返された。
駆け回るわけないだろ。俺は寒いのが嫌いです。
「雪降らねぇかな」
そう呟けば先生もぽつりと返す。
「寒いからって雪とは限らねー」
俺はちらりと、先生の手に目をやった。
手袋に包まれ固く握られたその手はきっと冷たくて、熱が宿るのを待っている。
俺は不思議でたまらない。
手袋をしてさらにポケットに突っ込まれている俺の手より、はるかに冷たい手を待つ先生にとって、冬は俺より辛いもののはずなのに、何故冬が嫌いだと言わないんだろう。
手が冷たい方が外気との温度差がなくていいとか、そんなものなんだろうか。
それとも口に出さないだけで嫌いなんだろうか。
「なー先生ー」
「ん?」
「冬嫌い?」
「…普通好きって聞くもんじゃないか?」
「いいじゃん。どっち?」
「…どっちかっていうと好きだな」
「はぁ?こんなくそ寒いのに?」
「人の好みにケチつけんな。いいだろ別に」
「ありえねー」
「うっせーよ」
先生は冬が嫌いではないらしい。
変な人。そう思う。
だってこんなに寒いのに。
そんなに冷たい手をしてるくせに、冬が嫌いじゃないなんておかしい。
俺はそんなことを考えながら、また先生の握り締められた手を見つめた。
「なに見てんだ?なんかついてるか?」
「べーつに」
俺の視線に気付いた先生が手を上げ開いたが、俺は視線をそらした。
だがこっそりまた視線を戻す。
手の表裏をしばらく見比べていた先生も、首を傾げてまた手を元に戻した。
「おまえ鼻赤い」
そういう先生の鼻もちょっと赤い。キスしたらきっと冷たい。
「寒いんだから仕方ないっしょ」
「今時時代は青っ鼻だぜ」
「んな人間キメーっつーの」
けらけら笑う先生を見て、握り締められたままの先生の手を見て。
俺はついに耐えきれなくなって。
「先生」
声をかけてしまう。
「何だ?」
「手ぇ出して」
「はぁ?」
「いいから早く。手袋とって」
「馬鹿言ってんじゃねーよ、寒いじゃねーか」
「いーからっ」
しぶしぶながらも、出された手は血色が悪く、見るからに冷たそう。
俺も手袋をポケットに置き去りにして、その手を握り締めた。
「おまえの手は暖かいな」
「先生の手が冷たすぎんだよ」
「まぁそれもあるかもな」
手袋をした片手に、北風にさらされたもう片方の手。
冷気は容赦無くその手を撫で上げ皮膚が裂けるかの様に痛い。
でも俺らは手袋はつけずそのままでいた。
「俺は…」
「あ?」
ぽつりとなんでもないようにいきなり先生が口を開いた。
「おまえの手が冷たかったら、冬嫌いだったかもな」
「なんで俺の手が関係あんだよ」
「なんでだっていいだろ。なんとなくそう思っただけだ」
そう言って少し笑った先生の鼻も、少し赤くなったままで。
赤い鼻で笑う先生を見ていたらなんだか俺も笑えてきて。
先生の冷たい指先を握り直した。
俺の手は冬だろうがいつもいつでも暖かいから
先生のその冷えた指先をいつだって暖めるから
だから、手を繋いでいようよ
冬だけでいいから
先生の手を暖めるのが
俺の手の存在理由
*─────────*
以上、桜桃からのリサイクル作品でした。
ICHHさんが最近アップされたお話に似てるから公の場にアップすることがなんとなく憚られたからゴミ箱に。
元々はブン太夢です。桜桃にいけば元々の作品が見れますがそんなこたぁどうでもよかろう。
オリジナルを金高にする手直しと加筆修正。高杉先生より同級生のがよかったかな、と修正してから思う。
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