いろいろ置き場
なんか暗かったりするのが多いよ。あとは気に食わないから表に置こうとは思わないんだけどせっかく書いたからとかいうもの置き場。
2008.01.23
なんか気に食わないんだって。
ここ連日、銀時のブーツが玄関からなくなるという事件が発生していました。
そして神楽が寝床にしている押し入れの隅で見つかるのです。 もちろん銀時のストーカーによる犯行ではありません。
隠し場所が示すように、犯人は内部の者でした。 銀時が自分のものを盗むわけはなく、新八や特に神楽は銀時のブーツの破壊性、
主に匂いを知っているため触れようともしません。そう、犯人はしんすけだったのです。 早々に犯行が明るみに出たしんすけは銀時に叱られましたがやめる気配がありません。
一体なんのつもりなのだろうか。ある日万事屋3人は犯行の一部始終を目撃していました。
では彼らが目撃したものを見てみましょう。 「あ、しんすけ来たアル」 洗面所に隠れてる3人の中で神楽が声を上げます。 「うっせーな、バレんだろ。静かにしろよ」 「あ、物色してますよ」 3人の視線の先でしんすけが土間を見つめてうろうろと彷徨います。
それからしゃがんでフンフンと匂いをかいでいます。 「犬かあいつァ」 「キツネヨ」 「知ってんよ。もののたとえってやつですー」 「あーもう静かにしてくださいよ。あ、銀さんのブーツに気付いた」 なかなかしんすけが銀時のブーツを持ち去るのをやめないので、わざとちょっと遠いところに
ブーツを置いてみたのでした。玄関にしゃがみ込んだしんすけが身を乗り出して手を伸ばしても
手が届きません。 「おー、頑張ってる頑張ってる」 「土間に降りて取るっていう手段は思い付かないんですかね」 「キツネは賢いって聞くけど、あの子違うネ」 3人がそんなやりとりを交わしているとまえのめりになって頑張っていたしんすけが
バランスを崩します。 「「「あ」」」 しんすけが土間に頭から落ちました。ゴンっと鈍い音がします。 「痛いヨ!」 「いやおまえ痛くねーだろ」 「心が痛んだネ。しんすけの痛みは私の痛みヨ」 「嘘つくんじゃねーよ」 「だから静かに。ほら、しんすけが起き上がりましたよ」 しばらく落ちた姿勢でいたしんすけがむくりと起き上がります。痛いのか頭を押さえて、
ちょっと半泣き気味ですが土間に落ちたため銀時のブーツは目の前です。
わしっと小さな両手で黒いブーツを掴んだのでした。確かめるように匂いを嗅ぎます。 「うーわ、死ぬって。死ぬよあいつ。あれはヤバいって。自殺行為だって」 「何言ってんですか。自分のブーツでしょうが」 「あ、クサッて顔してるヨ。やっぱクサいアル」 神楽の言う通り、酸っぱいものを食べたような、苦いものを食べたような微妙な顔をしてしんすけは
ブーツから顔を背けました。少しむせています。先ほど玄関からおっこちた時とは
別の涙を浮かべながら、それでも手はブーツを掴んでいて、少しふらつきながら玄関に上り、
神楽の寝床の押し入れの下のところにそれを押し込んだのでした。 「なんのつもりなんだろうなぁ」 めっと叱られてムスッとしているしんすけを囲んで考えます。 「明らかに銀ちゃんのブーツくっさいヨ。決してフローラルなものじゃないヨ。しんすけにとっても」 「Mなんじゃねーの。なんで俺Mばっか寄ってくんだよ…」 「子供相手に変なこと言わないでください。図鑑ないんですか図鑑。もしかしたらキツネの習性が
なんか影響してんのかもしれませんよ」 万事屋に図鑑はないのでお登勢さんから借りてきて、3人で頭を寄せて覗き込みます。
しんすけは銀時が押さえ付けるようにして抱っこです。
目を離すとまたブーツを押し入れにしまうので確保です。 別にブーツを隠されるくらい構わないようですが、ブーツにうっすらと噛み跡があるとなると
話は別です。ただでさえ破壊性のあるブーツを口に入れるなんて、
いくら元は野生の子ギツネでも厳しいでしょう。 しんすけは銀時に肩を掴まれて少しもがいています。 「だいたい図鑑って何処見んだよ。こいつ何狐なんだよ。ごんぎつね?
ごんぎつねか?ごんぎつねなのか?」 「銀ちゃん、ごんぎつねしか知らないアル」 「知ってますー。もっとちゃんと知ってますー」 「じゃあ言ってみるヨロシ」 「とりあえずキツネ共通の性質を見ればいいんじゃないですか」 新八はもう二人の騒ぎを放置してキツネのページを開きます。
逃げ出すことを諦めたしんすけも一緒に覗き込みます。 「ちょっ、しんすけの頭が邪魔で俺見えねーんだけど」 「大丈夫。銀ちゃんの分まで私たちがしっかり見てあげるヨ」 ですが特別めぼしい情報をありません。うーん、と首を傾げでもどうにもなりません。 ですが対策をたてる前に、何度も何度も運んだものを戻されてしまうことを
学習したしんすけはいつの間にか靴を運ぶのをやめていました。
今は床に座り込んでご自慢の尻尾の手入れをしています。 「やっとしんすけも銀ちゃんのブーツ嫌になったネ」 それを見ながら神楽がいいました。その言葉にムッとしたのが銀時です。 「そりゃ俺のブーツはかなりの凶悪性と破壊性を兼ね揃えてるけどよ、
嫌になったとかじゃなくて単にダメなことをダメって学んだだけだから。
別に嫌になったとかじゃないから」 「そんなことないヨ。しんすけもう銀ちゃんの足の匂い大っ嫌いヨ」 「いやいやいや、ないね。そんなことないね」 とりあえず嫌われるのは気分が悪い銀時は否定してみますが、神楽はソファから立ち上がると
玄関にあったブーツを手にして戻ってきました。 「しんすけー。これどうアルカー」 呼ばれて神楽の方を向いたしんすけにブーツを近付けます。少し近付けると
しんすけは嫌そうに顔をしかめてその場から逃げ出しました。銀時、軽くショックです。 「ほらネ」 「………」 「素足にブーツが間違ってるヨ。靴下はくヨロシ靴下」 言いながら神楽はブーツを玄関に投げ捨てます。 「しんすけー、お外で定春と一緒に遊ぼうネ~」 神楽ももう銀時のブーツになど興味を示さず、しんすけを抱き上げて定春に乗せ、
玄関から出ていきました。 ぽつんと銀時が取り残されたのでした。 「え、何このやるせなさ」 ※ちなみに。 キツネさんは肉食で、汗の匂いがしみついた靴を餌だと勘違いしてしまうのです よ。んで食べられないとわかると放置するのです。以上、キツネのまめちしきで した。
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