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いろいろ置き場

なんか暗かったりするのが多いよ。あとは気に食わないから表に置こうとは思わないんだけどせっかく書いたからとかいうもの置き場。

2025.06.26
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2007.02.21
昔のっけてた3Z銀高連載の補足というかなんというか、高杉の転落人生がかけなかったので書いてみようと思い立ったが挫折した。その名残。
テンションは低いです。流血沙汰です。

連載を見てなかった人のために。
オジサン相手に援交してた高杉君が銀八先生の愛の力で立ち直る話でした(実も蓋もない)

明日明後日は休みだから今日からうちに泊まると高杉が言い張るのはいつものこ
と。
だからそれについて気にすることはないんだけど。
「あ」
何度もやめろっつってんのに人の注意なんざ聞きもせずコタツで横になってまど
ろんでいた高杉が不意に上げた声に、俺は高杉に視線を向けた。
「? なに」
「なんでもねぇ」
何でもないと言いながら高杉は眠たそうに目をしょぼつかせながら部屋の隅に放
られていた自分の鞄を引き寄せると、ガサガサと中をあさり、台所の方へ消えて
いった。
あいつが台所に行くなんて珍しいから、俺は何となくその後を追った。
ひょいと覗き込めば、高杉は水の入ったコップを片手に流しの前に立っていて、
そのコップの水を喉に流し込んでいた。
いつもなら水道水は嫌とか言うのにな。まぁうちにミネラルウォーターなんかね
ーけど。
「どしたの?」
「ん」
俺も麦茶でも飲もうと思ってコップをとったついでに高杉をうかがった。
高杉は大きな溜め息をつくと残りの水をシンクにぶちまけた。
「別に、薬飲んだだけ」
「薬?」
流しの縁を見れば空になった錠剤のゴミがいくつか置いてあった。俺がそれを何
となしに見ていると高杉はそれらを無造作に掴むとゴミ箱に捨てた。
ゴミを見たところで俺は何の薬かなんてわからない。こいつにどっか悪くしてる
とこなんて…あ。
「あぁ、胃潰瘍の?」
「とかの」
高杉は欠伸をしてまたさっきまで寝転がっていた位置に横になると、すぐにすよ
すよと寝始めた。
「あっ、寝んなら布団で寝ろっての。コタツで寝んな」
「んー…」
言っても聞きゃしねぇ。高杉は生返事を返すばかりだ。
「ったく」
時計を見ればまだといっていいのかわかんねぇけど今は11時を少し回ったところ
。若者が寝るにしちゃ早すぎやしねーか。
うちに来てる時の高杉の寝る時間はたいていいつも早い。
そのくせ自宅にいる時は「眠れねぇ」って真夜中の3時とかに平気で電話かけて
くるからたまったもんじゃない。
それにも付き合ってやってんだから俺ァ偉いと自分で自分を褒めてやる。
そんなこと、今まで付き合った彼女たちにはやったことない。俺めっちゃ高杉大
事にしてるよなホント。
あどけない寝顔を隠すようにして寝てる高杉を見つめる。
「………」
黒い髪を指先で触れたら、何故だか不意に、先生が死んだ時のことを思い出した
。



先生が亡くなったのは、雪の降る寒い日のことだった。
死因は交通事故。スリップした車にひかれた。あまりにも呆気ない死だった。
霊安室に置かれた先生は眠ってるだけのようで、俺はなかなか先生が死んだって
いう実感がわかなくて、渇いた瞳でじっと先生を見下ろしてた。
其処はすごく静かで何の音もしなかったのに、その静寂はドアが開けられた一瞬
で破られた。
「先生…」
荒い呼吸の合間、消え入るような声で呟かれた声に俺はそちらを見た。
こん時が高校に入ってからの高杉を初めてちゃんと見た瞬間だと思う。
あ、先生にすっげぇ懐いてたムカつく生意気なガキだ。
そう認識した瞬間、蒼白な顔した高杉は俺なんか目に入ってない様子で先生の側
の側に寄って、何度も何度も先生のことを呼んだ。
先生、先生、嘘だろ、先生、起きろよ先生、なぁ起きろよ。
もう冷たい身体を揺さぶって必死で無意味な呼び掛けを悲鳴のような声で続ける
高杉をヅラが止めた。
もうやめろ。先生は亡くなったんだ。
その言葉に俺はヅラに視線を向けた。
へぇ、こっちは随分冷静に現実を受け止めてんだなと思ったら、ヅラが辛そうに
噛み締めている唇は白くなってた。
高杉はしばらく呆然としたまま先生を見つめていたけど、ぽたりと先生の肌に塩
辛い雨を落とすと、堰を切ったようにその場に泣き崩れた。
恥もへったくれもない泣き方だった。
それを俺は他人ごとのようにただ見つめていた。


言われるがまま葬式の準備をして、一応俺が喪主を務めた。先生には世話になっ
たし。
通夜にはヅラも高杉も家族と来ていた。
ヅラの親御さんは塾に何度か来ていたから見る機会もあったが、俺はこの時初め
て高杉の両親を目にした。
二人とも端正な顔立ちで、あぁ道理で高杉も顔だけはいいはずだよとそんなこと
を俺は思っていた。
高杉はあれだけ泣き叫んでいたのが嘘のように通夜の間中涙を全く見せず、紙の
ように真っ白な顔をして何処を見ているかわからない虚ろな目を一処にとどめて
いた。
焼香の番になってもずっと椅子に座ったままで父親に引っ張られて初めて席を立
ち、今にも倒れてしまうんじゃないかと思うような足取りで焼香台の前に行き、
椅子に戻りまた瞬きもせずにいるという心此処に在らずの状態だった。
翌日、骨になった先生を拾う時も高杉はただ灰になった先生を見つめるばかりで
、一人ではなにもしようとしなかった。
そんな高杉をヅラは何かと気にかけていたようだけど、そんときの俺には別にど
うでもいいことであって、特別意識してやることもなかった。
だから知らなかったんだ。
先生が亡くなったことが、高杉にどれだけの衝撃を与えて高杉がどんなことをし
たのかなんて、俺は全く知らなかったんだ。
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