いろいろ置き場
なんか暗かったりするのが多いよ。あとは気に食わないから表に置こうとは思わないんだけどせっかく書いたからとかいうもの置き場。
2007.06.18
3Zだけどロクな話じゃない。苦情は受け付けないよ。
不意にカサカサと音がして、高杉は身動きをやめた。息を潜めて耳を澄ます。やはり物音がする。同時に嫌な予感がした。
それでもちゃんと音源を確認しようと辺りを見る。そう、それはいた。長い触角を蠢かしながら、気持ち悪く光を反射する体。高杉は息を止めた。
(…なんかでけぇし…)
心の何処かでこのまま逃げて欲しい、そう思いながら足音を殺し即座に殺虫剤を取りに行く。
缶を手に今一度そいつの居場所を確認する。まだいる。
内心舌打ちをしながら正直スプレーをかけるか迷っていた。
逃げて暴れられたらどうしよう。
秒殺を謳いながら実はそこまで瞬殺してくれない事くらい高杉はわかっていた。苦しがったそれが今おとなしいのが嘘のように暴れ回る事も。だから迷う。
だが逃がす訳にもいかない。意を決して高杉は噴射口を向けて、引き金を引いた。
瞬間、殺虫剤を浴びたそいつは予想通り暴れ回る。
追い討ちをかけたいが、周りには物があってスプレーで汚す訳にはいかない。
(片付けとけよ馬鹿天パ…!!)
今この場に居ない家主を心の中で罵りながら苦しみもがくそいつを心臓を高鳴らせながら注視する。不意に近寄って来たそれに息を飲んで少し距離をとった。
その隙に部屋の隅に逃れられて慌てて後を追った。
物が乱立する其処を覗き込み、スプレーを構えてひとつひとつ物を退かしていく。
退かせるだけ退かしても、敵の姿は其処にはなかった。
どうせなら生き延びて何処か違う場所に行ってくれればいい。だがこの奥で力尽きてくたばっていたらどうしようか。
悩んでいると額に嫌な汗が浮いて来る。あぁせっかく風呂に入ったのに。
しばらくその場でまた現れやしないかと気配を探っていたが、物音は思いもしないところから聞こえた。背後からだ。
カサカサと、その音に高杉の額に汗が滲む。先程聞いた音によく似ている。
高杉は息と気配を殺し、音源に近寄った。書類の入った小さな棚から聞こえる。先程と同様、極力物を退かしスプレーを構えてから覗き込んだ。いた。細い触角が揺れて、動く度カサカサと音がしている。
こいつはさっき逃がしたのと同じものか?
高杉にそんなのが見分けられるはずもない。人類ほとんどの者も無理だろう。
高杉は考える。自分が見失った地点から行けない場所ではないが少し距離があるような気はする。
じゃあこれはさっきのとはまた違った奴で本日2匹目ということか…?それはそれで嫌だ。きっと同じ奴だ。そう思い込もうとしながらスプレーを向けた。
吹き掛ける。暴れたそいつから即座に距離を取る。ぽとりとそいつが床に落ちる。暴れ回る。其処には余計な物がない。追い討ちをかける。音が止んだ。
高杉は息を潜めて様子を伺った。殺ったか…?棚の影になってよく見えない。
携帯のライトで照らしてみる。よくわからない。
地震の時用の懐中電灯があったことを思い出して取りに行き照らす。いた。仕留めている。
ホッと息を吐いて、此処からが問題だった。
「ただいま~」
銀八の帰宅だ。
「Gが出た」
おかえりよりも早く高杉は言う。
「はぁ?」
「やっつけた。から、早くどうにかしろ」
「え~。先生帰ってきたばっかで疲れたよ。やっつけたなら自分でやりな」
「いいからやれよ」
じゃあ後でね。言いながら銀八は他のことを始めてしまう。
落ち着かないのは高杉だ。以前、銀八宅でそいつを仕留めたとき、目を離しその場を離れた隙にそれは姿を消していた。確かに仕留めたはずなのに、どうして。
実は生きてたのか。いやそんなハズはない。何故。どうして。考えがぐるぐると頭を巡る。
真相はなんてことはない、銀八が後始末をしただけであったが。混乱している高杉を見るのが面白くて銀八がそのことを黙っていたため高杉が真相を知ったのはそれから大分経ってからである。
そんなことがあってから、目を離したらまた消え失せているかもしれないという考えが消えない。いつまで経っても片付けようとしない銀八に高杉はじりじりとした気持ちを抱き続けた。
×××××××××××××
一部フィクション、ほぼ実話。
霜とGの格闘記。思いがけず長くなってしまった。
不意にカサカサと音がして、高杉は身動きをやめた。息を潜めて耳を澄ます。やはり物音がする。同時に嫌な予感がした。
それでもちゃんと音源を確認しようと辺りを見る。そう、それはいた。長い触角を蠢かしながら、気持ち悪く光を反射する体。高杉は息を止めた。
(…なんかでけぇし…)
心の何処かでこのまま逃げて欲しい、そう思いながら足音を殺し即座に殺虫剤を取りに行く。
缶を手に今一度そいつの居場所を確認する。まだいる。
内心舌打ちをしながら正直スプレーをかけるか迷っていた。
逃げて暴れられたらどうしよう。
秒殺を謳いながら実はそこまで瞬殺してくれない事くらい高杉はわかっていた。苦しがったそれが今おとなしいのが嘘のように暴れ回る事も。だから迷う。
だが逃がす訳にもいかない。意を決して高杉は噴射口を向けて、引き金を引いた。
瞬間、殺虫剤を浴びたそいつは予想通り暴れ回る。
追い討ちをかけたいが、周りには物があってスプレーで汚す訳にはいかない。
(片付けとけよ馬鹿天パ…!!)
今この場に居ない家主を心の中で罵りながら苦しみもがくそいつを心臓を高鳴らせながら注視する。不意に近寄って来たそれに息を飲んで少し距離をとった。
その隙に部屋の隅に逃れられて慌てて後を追った。
物が乱立する其処を覗き込み、スプレーを構えてひとつひとつ物を退かしていく。
退かせるだけ退かしても、敵の姿は其処にはなかった。
どうせなら生き延びて何処か違う場所に行ってくれればいい。だがこの奥で力尽きてくたばっていたらどうしようか。
悩んでいると額に嫌な汗が浮いて来る。あぁせっかく風呂に入ったのに。
しばらくその場でまた現れやしないかと気配を探っていたが、物音は思いもしないところから聞こえた。背後からだ。
カサカサと、その音に高杉の額に汗が滲む。先程聞いた音によく似ている。
高杉は息と気配を殺し、音源に近寄った。書類の入った小さな棚から聞こえる。先程と同様、極力物を退かしスプレーを構えてから覗き込んだ。いた。細い触角が揺れて、動く度カサカサと音がしている。
こいつはさっき逃がしたのと同じものか?
高杉にそんなのが見分けられるはずもない。人類ほとんどの者も無理だろう。
高杉は考える。自分が見失った地点から行けない場所ではないが少し距離があるような気はする。
じゃあこれはさっきのとはまた違った奴で本日2匹目ということか…?それはそれで嫌だ。きっと同じ奴だ。そう思い込もうとしながらスプレーを向けた。
吹き掛ける。暴れたそいつから即座に距離を取る。ぽとりとそいつが床に落ちる。暴れ回る。其処には余計な物がない。追い討ちをかける。音が止んだ。
高杉は息を潜めて様子を伺った。殺ったか…?棚の影になってよく見えない。
携帯のライトで照らしてみる。よくわからない。
地震の時用の懐中電灯があったことを思い出して取りに行き照らす。いた。仕留めている。
ホッと息を吐いて、此処からが問題だった。
「ただいま~」
銀八の帰宅だ。
「Gが出た」
おかえりよりも早く高杉は言う。
「はぁ?」
「やっつけた。から、早くどうにかしろ」
「え~。先生帰ってきたばっかで疲れたよ。やっつけたなら自分でやりな」
「いいからやれよ」
じゃあ後でね。言いながら銀八は他のことを始めてしまう。
落ち着かないのは高杉だ。以前、銀八宅でそいつを仕留めたとき、目を離しその場を離れた隙にそれは姿を消していた。確かに仕留めたはずなのに、どうして。
実は生きてたのか。いやそんなハズはない。何故。どうして。考えがぐるぐると頭を巡る。
真相はなんてことはない、銀八が後始末をしただけであったが。混乱している高杉を見るのが面白くて銀八がそのことを黙っていたため高杉が真相を知ったのはそれから大分経ってからである。
そんなことがあってから、目を離したらまた消え失せているかもしれないという考えが消えない。いつまで経っても片付けようとしない銀八に高杉はじりじりとした気持ちを抱き続けた。
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一部フィクション、ほぼ実話。
霜とGの格闘記。思いがけず長くなってしまった。
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