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いろいろ置き場

なんか暗かったりするのが多いよ。あとは気に食わないから表に置こうとは思わないんだけどせっかく書いたからとかいうもの置き場。

2025.06.26
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2010.02.03
どうしてあの子は喋らないのかしら口を聞けないのいやいや喋れるはずだよあの子の声を聞いた奴がいたものあらならどうしてあの子は一言も喋らないの。



大人達がひそひそと声を殺して交わす会話をハレルヤは確かに聞いていた。ということはアレルヤにも聞こえているはずなのだが、陰口を叩かれることに不満げなハレルヤと対照的に、アレルヤは頭から布団を被り膝を抱えて小さくなったままなんの反応もしない。
ハレルヤはそんなアレルヤをしばらくなんの感情もなく見つめていたが、やがて唇の端を吊り上げると少し低いからかうような声でアレルヤに話しかけた。
「なぁアレルヤ、あいつらなんか言ってるぜ」
「………」
「…オイオイ、俺にまでだんまりか?いいじゃねぇか、俺にくらいおまえの声を聞かせろよ。それともそのお口はただの飾りか?それならそれで俺が縫い付けて二度と喋れなくしてやるよ」
「…それはやだよ…。あぁ…でも、それがいいのかもしれないね」
「はァ?」
自分の言葉が誰かを傷つけてしまうのが怖いから、いっそ何も喋らなければいい。ただそれだけの話。
アレルヤの言葉をハレルヤは黙って聞いていた。何の感情も見せない無表情でアレルヤを見つめていたが、緩やかに唇を吊り上げて鼻で笑う。
「なんだそりゃ。違うだろ? アレルヤ。てめぇが黙り込んでるのは誰かを傷つけるのが怖いんじゃない。自分が傷つくのが嫌なんだ」
違う、違うよ。本当に違うんだ。僕は、僕は。
言葉にせずにアレルヤは呟く。音にならない、誰にも届くはずのないそれはハレルヤにはしっかりと伝わって、ハレルヤは愉快そうに目を細めたまま俯くアレルヤの顎を掴み上げ潤んだ瞳を覗き込んだ。
「違くねぇよ」
「―――…っ」



どうして何かを傷つけずにはいられないんだろう。どうして何かに傷つけられてしまうんだろう。
僕はそんなこと望んでなんかいないのに。




**************
携帯のなかに放置されてそろそろ化石になりかけていた。
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