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いろいろ置き場

なんか暗かったりするのが多いよ。あとは気に食わないから表に置こうとは思わないんだけどせっかく書いたからとかいうもの置き場。

2025.06.26
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2008.10.20
固く閉ざされた氷の扉を開いて覗き見れば、絶望と呼ぶに相応しい程に暗く冷たい深い闇が広がっていた。

夜を好む癖に光を求める高杉は心地よい冷たさを持った世界が気に入ったらしく、足取り軽く後ろを歩く銀八のことなど気にも止めず進んで行く。
そんな高杉がふらりと立ち寄ったのは公園で、一際明るい街灯の明かりに引き付けられるように近寄って行くと足を止めて漸く後ろを振り返った。
来い来いと手招きされるがまま銀八もそちらに向かえばぎゅうと抱き着かれる。
肩に押し当てられた高杉の頬は冷え切っていた。
そっと銀八も腰に手を回す。虫の音が遠く聞こえた。

口づけるより身体を重ねるより、こうして抱きしめられることを高杉は好むのだと気付いたのは何時だったろう。
何をしても、独りは寂しいと泣く高杉に銀八の方が途方にくれた。
独りは怖いと言う高杉は一つになることを望んでいるのに、二人は別の生き物だから、それぞれが個であるから、決して高杉の願いが叶うことはないのにそんな現実を銀八は口にすることも出来ず、ただ彼が佇む孤独の淵にひっそりと立ちすくむだけだった。
でも今は違う。
「………」
街灯が作る光の帯びに、くっきりと浮かぶいびつな一つの影。
二人は確かに二人として存在するのに、世界は一人として二人を照らし出している。
「朝なんざ、こなけりゃいいのになァ」
高杉が呟く。このままこうして溶けていたい、いっそこのまま影になりたいと、彼は言う。
独りでも生きていかなくてはならないのだよと、言わなくてはならない。結局のところ、最後は一人なのだから。
でも。
「そうだな」

独りぼっちが嫌なのは、銀八も一緒だったのだ。

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